クリッカーのいろいろな使い方
クリッカー使用方法の分類
- 授業進行の質問
- 出席チェック -- 学籍番号の入力により必要な回数出席をとれる
- 希望調査 -- 挙手と比べて, 意思表示しない学生が減る傾向
- 理解度調査 -- 「わかりましたか」「難しいですか」のような質問. ただちに集計して授業に反映できる. 他の学生も難しいと感じていることに安心して口頭の質問が出るようになった, という報告がある一方, 「難しくて当たり前」「わからなくて当たり前」的な空気が発生することもあるという声も
- 授業アンケート -- 連続解答モードで学期末授業アンケート程度のものは実施可能
- 授業内容の質問
- 正解のない質問
- 学生の意見 -- 「消費税率を上げるべきか?」の結果をその後の議論や説明に反映
- 学生の状況 -- 「棄権したことはあるか?」の結果をその後の議論や説明に反映
- 確率的実験 -- 学生一人一人にサイコロやコインを投げさせて確率・統計などの実験
- 正解のある質問
- 理解度を知るための問題 -- 正解率によって授業の進み方を変更. 「わかりましたか」「難しいですか」よりも正確に測定できる.
- 解説や議論の題材とする問題 -- Peer Instruction にも用いられる
- 成績評価のための試験 -- 連続解答モードで多数の問も実施可能. PowerPoint+クリッカーで検定試験(京都工芸繊維大学KITT検定)をやっている例も.
- 正解のない質問
- 学生・教員の意識を高めるための質問
- 形式的には上の分類のいずれかに該当するが, 学生・教員の集中力や参加意識を高めることを目的とする質問. -- 人間は一方的に話を聴くと15分くらいから効率が低下するという説
Active Learning - 能動的学習
クリッカーで学生が意見を表明したり, 反応したりする学習スタイルは, アクティブラーニングとよばれる一群の学習方法のひとつと考えられる.
Peer Instruction
- Active Learningnoひとつと考えらえれる.
- もとは物理教育の分野で提案された, クリッカーと親和性の高い授業方法
- 学生が教科書を予習してくることを前提.
- 教員の講義なし: クリッカーでの発問 - 議論 - 再発問 - 正解の解説, を何回も繰り返すだけの授業
- 概念の理解を問う良質な多肢選択問題セットの使用が重要
文献
- Derek Bruff, Teaching with Classroom Response Systems: Creating Active Learning Environments, Jossey-Bass, 2009.
- 新田英雄, ピア・インストラクションとは何か, 日本物理学会誌 66(2011)629-632.
- Eric Mazur, Peer Instruction: A User's Manual, Benjamin Cummings, 1996.